事業承継について

M&Aと聞くと、一昔前は会社を身売りするなどというネガティブなイメージがあり、積極的に検討する経営者はあまり多くなかったと思います。

ですが、現在は状況が大きく変わりました。

高齢の経営者にとっては後継者不在の解決となり、これから規模を拡大したい企業にとっては成長戦略の有力な選択肢となっています。

政府が積極的に後押し

現在、中小企業庁(経済産業省)は、事業承継を強力に後押しし、中小企業のM&Aを促進していくという取り組みをしています。

経済産業省は、2025年までに127万社が廃業し650万人が失業する可能性があると試算しており、これを放置しておくと日本経済にとって大きなダメージになるという危機感があります。

そのため、M&Aに馴染みのない中小企業の経営者に、事業承継の一つの選択肢として理解してもらえるよう「中小M&Aハンドブック」を作成し、普及に取り組んでいます。

【中小M&Aハンドブック】

M&Aはみな不安

私はM&Aの仲介アドバイザーとして活動しています。

通常、税理士というと顧問先がM&Aをする際に、相手企業の財務内容等を精査する作業(財務DD)などで関わることが多いのですが、私の場合は、譲渡企業と譲受企業の仲介役として、譲渡金額・譲渡後の条件(現経営者や従業員の待遇)などの調整、M&Aに関するアドバイスやご提案を行い、お互いが納得する形で引き継げるようお手伝いしています。

M&Aに携わる中で、譲渡する側の企業経営者様に多いのは、「そろそろ事業承継を行うタイミングであることは何となく分かっているが最後の一歩を決断できない」という方です。

まだまだ元気だし仕事は続けたい、M&Aにネガティブイメージがあり周りの経営者仲間に知られるのは嫌だな、譲渡して引退した後に目的(生きがい)がなくなっていしまう、など理由はさまざまです。

極端に言うと、何十年も育て上げてきた会社を他人に譲渡するのは、自分が大事に育ててきた娘さんが結婚してお嫁に行ってしまうのと同じ感情なのかなと思います。

私も娘がいますが、その感情であれば分かる気がします。ましてや、自分の決断でそうすることになるなら、現状のままでもう少しいたいと思うのは本心です。

M&Aをするタイミング

M&A(特に譲渡側)は皆不安です。なぜなら、ほとんどの方が初めての経験だからです。経営者は高齢でも元気な方が多く緊急性も感じないため、何となく先延ばしにしてしまいがちです。

しかし、はっきり言って、ギリギリのタイミング、つまり自分が弱ってからでは遅いです。

自分が元気なうちに、譲受先となる候補企業の社長と何名かお会いして、じっくり交渉して納得して譲渡することが、ご自身にも残される社員やご家族にとっても最良の事業譲渡になります。

中には、M&Aの交渉期間が少し長引き、その最中にご病気になりお亡くなりになったケースもあり、残された社員やご家族が大変な苦労をされました。

M&Aはよく結婚と例えられますが、会社同士が未来永劫共に成長していくために、できれば最高のお相手を見つけて一緒になりたいものです。

お相手探しの期間をある程度余裕を持ち、譲渡金額や譲渡した後の待遇などに関する交渉も粘り強く行うためには、自分が元気なうちから始めておくべきです。

まずはお気軽にご相談を

事業譲渡について何となく気になり始めたら、まずは顧問税理士やお付き合いのある金融機関へご相談いただくと良いかと思います。

今すぐのことでなくても事前に概要を知っておけば、いざそのタイミングが来た時に全く準備していなかった場合より、スムーズに判断し行動できるのではないかと思います。

現在は、各金融機関がM&Aに取り組んでおり知識や実績も豊富です。

当事務所が提携している沖縄M&Aサポートも地元沖縄を拠点とした事業承継専門の会社であり、県内の金融機関とも連携したサービスをご提供しております。

ご興味があれば、お気軽にご相談ください。