今までは必要な資金需要等に応じて融資をし、その回収をいかに安全に行うかを重視してきた金融機関ですが、今後、融資先への支援の仕方は大きく変わっていくことが期待されます。
『業種別支援の着眼点』
新型コロナウイルス感染症の収束が見通せないことに加え、原油価格・物価高騰の影響により、地域経済は深刻な影響を受けいる中、金融庁は金融機関等に、地域経済を担う事業者に対する付加価値の高い支援・効果的な支援を実施していくことを要請しています。
これを踏まえて、2022年12月15日に『業種別支援の着眼点(試行版)』が公表されました。金融機関等の現場職員が円滑に事業者支援に着手できるよう、事業者支援に当たって着眼すべきポイントを業種別に整理されています。
https://www.fsa.go.jp/policy/chuukai/0330gyosyubetu_00.pdf
上記の「業種別支援の着眼点(試行版)」は、金融機関の職員が事業者を支援する際のガイドブック的位置づけとして作成されており、一部の金融機関ではすでに勉強会等を行っているようです。
このガイドブックですが、金融機関の職員等が、事業者の経営課題の洗い出しや具体的な対応策(出口戦略)を導き出すことを想定した内容となっており、概要から始まり、業種別(建設業、飲食業、小売業、卸売業、運送業)に見るべきポイントにフォーカスしています。
金融機関の今後の取り組み
人口減少による地域経済の縮小や長引く低金利環境から、金融機関同士の競争は激しくなっており、昨今は貸出利息のみでは利益を出しにくくなっています。
さまざまなフィービジネスを収益源として追加し模索していますが、金融機関には地域の事業者に寄り添って成長を支援していくコンサル能力に期待が寄せられています。
皆様のお付き合いのある金融機関の担当者はいかがでしょうか。
まだまだ事業者支援というスタンスが浸透していない金融機関も多いと思いますが、金融庁からは資金繰り支援のみならず事業そのものの支援をすることも期待されており、今後は少しずつ金融機関のスタンスも変わってくるのかなと思います。